2001年04月24日
Japan Open Junior 2001 in Nagoya
アジアジュニア日本開催がなくなり、単独で「グレード1」の試合が極東の地、日本で開催されることになった。
当然海外選手は少なく、しかし完全に「それねらい」で来る有望選手と、日本ジュニアの差は当たり前のように激しい。
日本選手の上位進出は難しくなったが、もはや「お遊び気分」ではなく、プロ意識を持って、逃げ道を作らず(だれも高校、大学のことなんて考えていない)、お金と夢のために海を渡ってきたプロ候補と、日本のお坊ちゃんお嬢ちゃんでは相手になることすらあるはずもない。
日本でも世界各地を転戦する高校生グループが数人出るようになったが、その結果はまだ時間がかかるようである。
さて今回は、選手一人一人についてそのテニスと可能性を考えてみたい。
まず、「王 宇佐」。
すでに幾度と雑誌で紹介してきた我らがアジアのエース、ワン君16歳。 9歳で大手メーカーと契約し、12歳から世界を回り、私が叩きのめした日が懐かしい程時は流れ、ついにITF世界ジュニアランキング4位、デビスカップno.1、マネージメント会社お抱え選手となった。
彼の天才振りを一言であらわせば、「完璧なる打球センス」。
その打球センスは完璧なるコントロールを生み、オーバーパワーされない限り、何処へでもどんな球でも打つことができる。 しかし今大会。そのワン君の才能、今後の課題を見せつけられる試合となった。

準決勝までの天才振りとはうって変わって、対戦相手は優勝をもくろみ地球の裏側スエーデンからやってきたソーダリング君。
スエーデン17歳以下no.1が打ち出すちょっとへんてこなサーブ。
脱力感あるにもかかわらず力強く、手堅いストローク。
体格、体力に勝る相手に、遅いコートでがっちり打たれ続け、時折高い所から降ってくる重々しいサーブにラケットを弾かれるワン君は、ファイナルにまで持ち込むものの、未だ成長し切っていない欧米人相手にも「技術」のみで勝ち進むのは難しかった。
今後二周りも成長し、パワー全快となる欧米人中心の世界男子テニスで本当の「トップ」となるには、母国先輩ともいえるマイケル・チャンの肯定的精神持続力を受け継がなければならないだろう。 チャンは宗教を介してその域に達した。
今後、ワン君はそれを掴むべくコーチであり、親父殿でもある國行氏とまだまだもがかなくてはならない。
本当に「世界」を狙う男が知らなければならないのは、「5」という数字である。
この数字だけセットを戦うには、肉体的は元より、「精神的体力」こそが求められる。
ワン君の今後もレポートします。こう御期待。

日本選手ベスト4!。
過去、このグレード1の大会を制している日本選手は数人いるが、ここ最近私が予想してきたように日本ジュニアの競技力は落ち続け、添田豪のベスト4は快挙と言えるだろう。 彼はこの冬、本井監督の元、和田太一、小川敦夫とともに数カ月南米遠征をこなし、取得ITFポイントは少なかったものの、上位シード相手に接戦をものにしてここまできた実力は日本のトップとして「成長」したといえるだろう。 しかし、年下ワン君との準決勝は正直「戦う」という所まで行き着いていない。 数字でいえばITF4位と224位の差、となろうが、今現在の日本ジュニア最高のパワー、最高のねばり、最高のテクニックをしてもワン君と接戦することは不可能な程差が付いていることをみなさん知っていただきたい。
「ライバルとして頑張る。」と頼もしい言葉を敗戦後語った添田豪。 日本ジュニア選手競技力向上の旗手として期待される笠原コーチと共に、その言葉を実行してほしい。


スーウェイ準優勝!。
アジア対決となった女子決勝。優勝はインドネシアのお嬢様Widjaja。 じわりじわりと実力を上げてきているとはいえ、正直なところトップランキングが集まらなかったこの大会は彼女にとってラッキーだったとしか言い様がない。
同じことがスーウェイにも言えたが、お嬢様の勢いをファイナルで止めることはできなかった。
ところで皆さんこの台湾からきたスーウェイ。15歳ですよ。
それで全豪ジュニアベスト8、ITF35位。今の日本ジュニアでは考えられないことが台湾で起っているとしか想像し得ない状況である。
こと彼等の「指導者」については5月5日発売「テニスジャーナル」に書いていますのでそちらに目を通していただきたいが、ワン、スーウェイ、どちらも小さな体で日本ジュニアがはるか及ばない高い空を飛んでいる事実に目をそらすわけには行かないだろう。
日焼けした真っ黒な顔で愛想を振りまくスーウェイ。
親父さん(コーチ)に気合いを入れられながら黙々と練習を積むスーウェイ。
クレバーな試合展開をしわくちゃなウェアーに包み、正確に、正確にラインを狙うスーウェイ。
もしかしたら、一昔前の日本ジュニアの姿だったのかもしれない。
無論日本ジュニアの実力も昔の方が上だったことに変わりはないが、日本選手、指導者、保護者の皆さん!。 もう一度原点に戻りましょう。 皆には「一流大学進学」というそれは素晴らしい「おまけ」が付いてきますが、もしも・・・、もしも「世界を目指す」という言葉を一回でも吐く勇気があるなら、彼等アジアの勇者に学ぶことはたくさんあるはずです。
「夢」を夢にすることは誰にでもできることですから。


最後に。
緑のコートには赤いウェアーが似合うね、と思った今大会であった。
4、24、2001 松島徹
